6.従来の痛みの発生メカニズムに基づいた分類のまとめ

現在、一般に考えられている痛みの発生メカニズムに基づく分類について、見てきましたが、まとめると、
侵害受容性疼痛は、外傷などによる組織損傷と、修復反応で、発赤・腫脹・熱感を伴い、組織の修復が終わると終息する痛みなので、治療を必要としない痛みです。
神経障害性疼痛は、神経組織の損傷に伴って、侵害受容器を介さず発生する痛みであり、診断方法が確立されておらず、有効な治療法がない痛みです。
心因性疼痛は、心因性ストレスが発症要因であることを意味する概念です。

このように、侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛の両方とも積極的な治療の対象にならない痛みということになります。心因性要因が痛みの発症に深く関与している、いわゆる心身症の場合は、治療として認知行動療法などの心理療法が必要になる場合があります。